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take a breather

第27章 Turning Up

「聞かせて貰ってもいい?何があったのか」

今でもそんな哀しい顔をさせる出来事を、話してもらうのは酷な事かもしれない

でも、いつまでもその嫌な思いを引きずって欲しくない
翔くんはその事を思い出す度に、きっと自分自身も傷ついてる

話を聞いて、ちょっとでも傷を癒す事が出来れば…

翔くんを見つめ続けると、翔くんは『ふぅ〜』と息を吐き、苦笑いした

「つまらない話ですけど
智さんが聞きたいとおっしゃるなら、話させていただきます」

「うん、ありがと。ごめんね」

申し訳ない気持ちもあるから謝ると
翔くん僅かに微笑みを浮かべ首を横に振る

「…近所に幼なじみの女の子がいたんです」

翔くんがポツリポツリと話し始めた

「本当に仲の良い友達だったんです
中学に入ってからもよく話してて
それなのに、半年くらいした時に突然『もう話しかけてこないで』って言われて…
俺、何か悪い事したのかと思って理由聞いたんです
でもいくら聞いても教えてくれなくて
彼女、俺を避けるようになりました…」

哀しそうな瞳…

でも、今の話だけだと、翔くんが彼女を傷つけた感じはないよね?
寧ろ、理由を言わず避けるようになったその子に問題があるような…

更に話を続ける翔くん

「中学って、他の小学校からも生徒が来るじゃないですか…
その中に、俺の事を好きになってくれた子がいて
凄く親切で優しくて、みんなのリーダー的存在で『いい子だな』とは思ったんですけど
告白されて、付き合うとかは考えられなかったんで、断ったんです
そしたら、その子…俺が断ったのは、幼なじみの子が原因だと思ったらしくて…」

そこで翔くんは言葉を切ると、苦しそうな表情をした

「…彼女、影で俺の幼なじみ、虐めてたんです
他の女子たちにも指示出して…
俺の前では、そんな事してるの一切見せなくて
告白断った後も、俺と仲良くしてくれてたから安心してたのに
まさか、そんな事してたなんて…
その事を知ったのは、2年生になってからでした
幼なじみの子が、学校を休むようになって
ようやくその事が明るみになって
それを知った時はショックでした…
俺のせいで、大好きな友達が傷ついてたのに、その原因を作ってる女の子と仲良くしてたんですから…」

泣きそうな顔をする翔くん

やっぱり翔くんは、深い傷を負っていたんだ…

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