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take a breather

第27章 Turning Up

「こんな素敵な人なのに、恋人も作れないなんて勿体ない…」

「え?」

思わずボソっと漏れた本音…

「あ!いや!翔くん程の人だったら
普通は過去に恋人のひとりやふたりいたっておかしくないのに
恋愛も出来ないってことでしょ?」

「そうですね…
今まで誰かを恋愛対象として好きになった事はないです
恋人が欲しいとかの願望も持ったことないですし」

「そっか…」

やっぱりなんとかしてあげたい

まだ若いのに、恋人が作れないなんて可哀想

それに、女性が怖くて話も出来ないなんてこの先不便だもん

今は学生さんだからいいけど、社会に出たら、嫌でも女性と話をする機会はあるんだから、仕事にも支障をきたす

「ねぇ翔くんって、どんなお仕事に就きたいの?」

「俺、今、大学で法律の勉強をしています
なので、出来れば資格を取って弁護士になりたいな、って」

「凄いっ!翔くんって頭もいいんだね」

「頭も?」

翔くんが首を傾げる

「うんっ。顔も性格もいいのに
頭までいいなんて、完璧じゃん」

益々惚れた、とは言えないけど…

「そんな事ないですっ
俺なんて、潤さんや健人さんと比べたら全然カッコよくないですよ」

本気の否定…その謙虚さにも益々惚れる

「俺が弁護士になろうとしてるのは、罪滅ぼしです…
イジメにあってる人たちの助けになりたい
それだけです…」

「翔くん…」

弁護士になる事は悪い事じゃない
人の助けになりたいっていうのも、素敵な事だと思う

でも、過去の出来事をこんなにも引きずってしまうのはどうなのかな?

弁護士になりたいって言った翔くんの表情は、夢に向かって輝いてはいない

義務みたいに思ってしまっていたら…
それこそ罪滅ぼしの為に、なんて言っていたら、一生罪の意識から逃れられない

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