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take a breather

第4章 途中下車

「櫻井、取り敢えずビールでいい?」

「はい、大丈夫です」

「潤、ビールとグラス2つ」

「はいよ」

潤さんがお盆の上に瓶ビールとグラスを2つ、それと小鉢に入ったお通しとおしぼりを置いた

「今日のオススメはキンメの煮付けだよ」

「ん…じゃあ、それ貰うわ」

「オッケー、今持ってく」

「よろしく…行くぞ櫻井」

「はい」

お盆を持つ大野さんの後についてテーブル席へ

大野さんが椅子に座るのを待って席についた。

お盆に乗ってる物を次々とテーブルに置いていく大野さん…
会社じゃ絶対見られない姿

先輩にこんなことさせちゃいけないとわかっているのに
素の大野さんの姿を見られる貴重な体験に、体が動くことを忘れてしまっている

「櫻井?どうした?ボーッとして
ほら、グラス持てよ」

「えっ…」

大野さんがビール瓶を俺の方に向けていた

「あっ…す、すみませんっ
先にお注ぎしますっ」

急いで大野さんの手からビール瓶を受け取ろうとしたせいで、大野さんの手を思いっきり握ってしまった

「あっ、すみませんっ」

慌てて手を離した

「櫻井…落ち着け」

大野さんの優しい声…
前を向くと顔にも優しい微笑みが浮かんでいた

その微笑みのせいで俺の心臓は益々落ち着かなくなってしまった…

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