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take a breather

第28章 Welcome to our party

待ち合わせ時間より少し早いが、そろそろ行ってみるか
時間に正確な翔のことだ
きっと俺よりも早く着いているだろう

そう思って待ち合わせ場所に行ったのに、そこに翔の姿はまだなかった

めずらしい…どうしたんだろ?
まさか事故になんて合ってないよな?
どこか店に入って、気になる物でもみつけたか?
それならそれでいいんだけど…

もうすぐ待ち合わせの時間
辺りをキョロキョロ見渡すが、どこにも翔らしき姿は見当たらない

まさか、本当に事故?

心配になった俺は、翔に連絡を取ろうとスマホを取り出した

「すみませんっ、遅くなりました」

翔の声が聞こえ安心し、スマホの画面を消してポケットにしまう

「いや、まだ時間…え…しょ、お…?」

顔を上げた俺の目に飛び込んできたのは、今まで見たことのない翔の姿

大きいダボっとしたグレーのパーカーを着て、細身のブラックデニムを履き
髪は前髪を下ろし、サイドは耳に掛けている

凛々しい眉毛は前髪で隠れ、しかも化粧を少ししてるのか?
白い肌が一段と透き通って見えて
紅い唇は、いつもより艶やか

大きなパーカーが体のラインと手の甲を隠し
細身のデニムが脚の細さを際立たせる

翔は元々喉仏の存在が見当たらないから
今の翔の姿はどう見てもボーイッシュな女の子…

「え、と…これは…どういう?」

「おかしいですか?」

「いや、全然…」

下手げな女子より全然可愛い

「ならデートに行きましょっ」

ニコッと笑う翔の手が、俺の手を取り歩き出した

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