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あちこちと店を巡ってみるが、やはり欲しいと思える物はなく
どうしようかと考えあぐねていると、レディース服を扱ってる店に飾ってあるマネキンが目が入った

「智さん？」

突然足が止まった俺を、不思議そうに見る翔

「あれ…いいかも…」

「え？あれって？」

俺の視線を追い、翔もそちらに顔を向ける

「あのマネキンが着てる服…」

「あれ…女性物ですよ？
智さんが着るんですか？」

「ううん、翔」

「えっ⁈俺⁈俺が着るんですか？」

今している服装もいいけど
マネキンが着ているオフホワイトの薄手のタートルネックのセーターにベージュ色のキャミソールサロペット
翔には、ああいう可愛らしい感じの服の方が似合いそう

「今度は、あれ着てデートしようよ」

翔の様子を伺えば、少し驚きの表情を見せる

「また女の子の格好するんですか？」

「ダメなの？」

「ダメって訳ではないですけど…」

「だって、また手繋いで歩きたいじゃん」

繋いでいる手を持ち上げて翔に見せつける

「う〜」

困ったような唸り声を上げる翔

「本当は今も嫌ってこと？」

「違います…
今着てる服は、あくまでも男性物ですけど
あんな女性らしい服、俺には似合わないんじゃないかな、って…」

「そうかな？
俺はあっちの方が翔に似合うと思ったから言ったんだけど」

「…本当ですか？」

少し疑わしそうな目で俺を見る
確かにな…女性物が似合うって言われても疑いたくなるか
今まで着たことないだろうしな

「もちろん。あれなら横も緩めだし、丈も長いからサイズ的にはイケるだろ？
中のセーターはメンズ物で探せばいい」

「智さんが本気で言ってくれてるならいいです、着ます」

「本気、本気。じゃあ、あれがプレゼントな？」

「え？俺が着るのに、智さんへのプレゼントなんですか？」

「うん。あの服を着た翔とデートする事が、俺へのプレゼント」

「う〜ん…ちょっと複雑ですけど、わかりました」

「ありがと」

よかった…これでプレゼント問題は片がついたかな？