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take a breather

第29章 TRAP

「うまっ!」

「ほんと?よかったぁ」

智くんが作ってくれたのは、牡蠣のコース料理と言ってもいいぐらいの品々だった

生牡蠣に、バター醤油焼きに、フライに、海鮮鍋
しかも、それに合う日本酒まで用意されていた

「凄いご馳走だけどさぁ
もし俺が来なかったら、ひとりでこれ食べたの?」

「まさか〜、ひとりじゃこんなに食いきれねぇよ」

「えっ、じゃあこれどうするつもりだった?」

「ん〜、どうしただろうな…わかんね
誰か来られそうな奴、誘うとか?」

のんびり屋と言うか、細かいことを気にしないと言うか、無計画と言うか…

牡蠣は送られて来たとしても、他の食材やアルコールは用意するのに手間が掛かっただろうに

もし誰も捕まらなかったら無駄になるじゃないか

「あのさ…」

「ん〜?」

日本酒に口をつけながらのんびりとした返事を返す智くん

「もし、またこんなことがあるならさ、事前に連絡くれる?」

「こんなこと?」

「智くんが手料理食べさせてくれるようなこと」

「なんで?」

「なんでって、もし誰も食べる人がいなかったら勿体無いじゃん
これだけの食材、常備してる訳じゃないでしょ?
俺の為に用意してくれてたんでしょ?」

「バレたか…」

苦笑いする智くん

「バレるわ」

本気でバレないと思ってたのか?

「手料理食べさせて貰えるのは嬉しいから、無駄にしない為にも連絡してよ
連絡貰えれば、他に予定入れないからさ」

そう言うと、ふにゃと笑った智くん

「ん、わかった。次からは連絡する」

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