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take a breather

第29章 TRAP

「翔さん、最近何かいい事あった?」

「えっ?」

ニノからの突然の質問に顔をあげる

今日はニノとふたりきりの雑誌の取材

向かい側に座るニノは、ゲームをやっているんだとばかり思っていたのに
片肘をついて俺の顔を見つめてた

「今、スマホ見てニヤニヤしてたよ?
見てたのが俺だからいいけど
他の人と一緒の時は気をつけなよ?
不審者に思われるから」

「不審者って、失礼だな…」

「それくらいニヤけてたんだって
ここの所、楽しそうにしてるし
だから彼女さんでも出来たのかと思ったんだけど」

「そんな人いないよ」

「じゃあ何見てたのさ」

「えっ…あ…ど、動画!おもしろ動画観てたんだよ」

「ふ〜ん…動画ねぇ?
なら観せてよ、そのおもしろ動画とやらを」

「いや…ほら、ニノにとってはくだらないモノだろうから
観せる程のモノでもないよ」

まさか、智くんからのLINEを見てニヤけてたなんて言えない

カレーを作ってる智くんの写真付で送られてきたメッセージ

『仕事頑張って
カレー作って待ってるよ』

カレーが楽しみなのと
俺の為に一所懸命作ってくれてる事が嬉しくて、思わず顔が緩んでたんだ

「いいから観せてみなって」

そう言ってニノが椅子から立ち上がる

「え、いやっ…」

コンコン…

「櫻井さん、二宮さん
準備出来たので、移動お願いしますっ」

「はいっ、すぐに行きます」

タイミングよく呼びに来てくれたスタッフに感謝しながら
スマホをポケットにしまった

「ほらっ行くよ、ニノ」

「なんか怪しいなぁ…」

ボソッと呟くニノを無視して、ニノの腕を取り楽屋を出た

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