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take a breather

第4章 途中下車

「は〜い、お待たせしました」

潤さんが両手にお皿を持ってやってきた

「おっ、きたきた」

「まずは、鳥のささみを使ったチキンサラダとカニクリームコロッケね」

テーブルの上には置かれたのは、綺麗な俵形のコロッケ

「カニクリームコロッケかぁ…久しぶりに食べます」

「これな、潤の大好物だから超こだわって作ってんだよ
ここのイチ押しメニューだな」

「楽しみ〜」

「熱いから気をつけて食べてね」

「はい、ありがとうございます」

「じゃあ、次作ってくる」

「あ、次来るときでいいから、ビールもう一本持ってきて」

「オッケー」

立ち去る潤さんが親指を立てた

「櫻井はソース派ケチャップ派?」

コロッケに添えられていた小さな器にはソースとケチャップ

「俺はソース派です」

「お、一緒だ。俺もソース」

そう言いながらコロッケにソースを掛けてくれた

何から何までやってくれる大野さん
大野さんの彼女になる人は幸せだろうな…
奥さんになる人はもっと…

はぁ〜、駄目だ…今の時間が幸せすぎて余計なことまで考えてしまう
この幸せな時間がずっと続けばいいのに…なんて欲をかいてしまう

「どうした?櫻井。食えよ」

「あっ!はいっ」

慌ててコロッケを箸で摘み、そのまま口へ

「あっ!櫻井!」

大野さんが呼び止める声は間に合わず、コロッケを噛んだ瞬間…

「あつっ!」

揚げたてのクリームコロッケは当たり前だけど尋常じゃない熱さ
しかも柔らかいから思いっきり噛んでしまって中身のクリームが唇に…

急いでおしぼりを唇に当てた

「大丈夫か?」

「はひ…すみません…潤さんに言われてたのに」

俺が変な事を考えてたから…大野さんに余計な心配をかけてしまった。

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