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take a breather

第29章 TRAP

「翔ちゃん⁈」

智くんに大きめの声で呼ばれ、瞑っていた目を開いた

「ん?」

智くんがホッと息を吐く

「びっくりしたぁ…具合が悪くて倒れちゃったのかと思った
眠いなら先にベッドに行ってくれてて良かったのに…」

「あぁ、ごめんね。また心配掛けちゃった」

体を起こすと、智くんが微笑む

「いいよ、俺が勘違いしただけだし…
ほら、もうベッド行こう?」

「うん」

別に眠くて横になってた訳じゃないんだけどね
智くんの優しさが嬉しいから、素直に智くんの後について行く

智くんとベッドを挟み反対側に立つ
このベッドに寝るのは2度目…

躊躇いなく布団を捲り、当然の如くベッドの上に横になれるのは
智くんの、良い意味での緩さのおかげなんだろう

「電気消して大丈夫?」

智くんが照明のリモコンを手にして、俺に確認する

「うん、大丈夫」

灯りを小さくして智くんも布団に潜り込んだ

「智くんってさぁ…いい旦那さんになりそうだよねぇ」

「何?突然」

「だって、料理は上手だし
掃除もちゃんとしてるでしょ?
朝は先に起きてコーヒーを淹れてくれて
それよりも何よりも優しい」

「ヨイショしてんの?
そんな事しなくても
これからも手料理ご馳走するし、コーヒーも淹れるよ?」

「ヨイショなんかしてないよ
本当にそう思ったから言ってるの
俺が女だったら、智くんと結婚したいな、って」

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