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take a breather

第30章 Still...

俺はこれからもずっと智くんの近くで、智くんが夢を叶えていく姿を見ていられるんだと思っていた

中学3年のクリスマスイブ
夜になって、智くんから近所の公園に呼び出された

公園に着くと、暗闇の中、ブランコに座る智くんを見つけ駆け寄った

「智くんっ」

名前を呼ぶとこちらを向いて微笑む

「ごめんな?受験勉強忙しいのに呼び出して」

「ううん、大丈夫
それは智くんも一緒だし
クリスマスくらい息抜きしないとね」

隣のブランコに座りながらそう言うと、智くんは少し困った顔をした

「智くん?どうかした?」

「翔…俺な…高校行くのやめたんだ」

「え…」

智くんの言ってる意味がわからない

「高校行かないってなに?どういうこと?」

「俺、大工になる」

「うん、知ってるよ?
でも高校行ってからでも間に合うよね?
なんで高校に行かないの?
俺、智くんと一緒に高校生活送りたい」

「俺と翔じゃ、行く高校が違うだろ?」

確かに志望校は違う学校を選んでた
智くんは工業科の高校、俺は普通科の高校

「それなら俺が志望校変えればいい?
同じ高校なら今まで通り一緒にいられる」

「今更そんな事出来るわけないだろ
年明けには入試があるんだぞ?」

「だって…」

本当は最初から智くんと同じ高校に行く事を考えてた

でもそれを智くんに話したらダメだって反対されたんだ
『翔は成績が良いんだから、進学校に行って大学へ行け』って

違う高校に通っても、近くに住んでいるんだから、いつでも会えるって…

それなのに、それこそなんで今更高校に行かないなんて

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