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take a breather

第30章 Still...

4月になって、俺は高校生となり
智くんは大工の見習いとなった

智くんは親方の家で住み込みで仕事をしている
その方が、早く仕事を覚える事が出来るから
そんなに遠くはないけど、今までみたいに気軽に会いに行ける距離でもない

朝から夜まで仕事をしている智くんとは、なかなか会う事は出来ず
しかも休日も合わない…
智くんは、天気に左右される仕事だから
土日とも仕事なんて事もある

今の俺たちに出来る事はスマホを使って連絡を取るくらい

今日一日あった事をお互い伝えるが
智くんの仕事の話は、正直よくわからなかった

今日はこんな事を教えて貰ったと言われても、大工仕事を知らない俺には言葉だけじゃ理解出来ない

返信は『仕事頑張って』としか送れない

智くんもきっと同じなんだろう

俺が学校の話をしても『勉強頑張って』としか返事をくれない

仕事を頑張ってる智くんに、学校での楽しかった事なんて話せないし

心が繋がっていれば大丈夫って思っていたけど
会えない時間が、心さえも離して行ってしまう気がして不安になる…

梅雨の時期に入って、智くんと会える日が益々減った

いつ雨が降ってもおかしくない時期だから
土日だろうと天気が良ければ仕事に行き、平日に休みを取る

そんなると俺とは休みが合わないから、会う事も出来ない

もう1ヶ月近く、智くんと会えていない

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