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take a breather

第30章 Still...

数年後、俺がもう間も無く大学4年になろうとしていた時、智くんはまたとんでもない事を言い出した

俺は春休み、智くんは仕事が休みで、我が家に遊びに来た

「スペイン⁈」

「そ、スペイン」

「何しに行くの?」

「ん?サグラダファミリア見に行ってくる」

智くんが子供の頃、感動していた建物だ

「どれくらい行くの?」

「さぁ?わかんね。決めてないし」

「決めてないってどうゆう事?
旅行じゃないの?」

「旅行ではないかな?
完成するところを見に行くから」

「いつ完成するの?」

「そろそろだろ?
テレビで今年中には完成する予定だって言ってた」

そんな曖昧な情報でスペインに行く事を決めたのか…

智くんらしいといえば智くんらしいけど

「仕事は?お金は大丈夫なの?」

「親方には出会った頃から、サグラダファミリア見るのが夢だって話してたから、満足するまで見て来いってさ
お金は仕事始めてから殆ど使ってねぇからな
暫くの間はそれで食いつなげるだろ
あとは足りなきゃ、あっちで仕事見つけるよ」

「言葉もわからないのに?」

「なんとかなるって、心配するな」

これは流石に心配するだろ…

ツアーとかで行くなら、ツアコンの人に通訳頼めるけど
個人で、しかも長居する予定なんだから、お金は極力掛けられない

言葉が通じない、お金もいつまで続くかわからない
心配事は山のようにある…

久しぶりにゆっくり会えて嬉しかったのにな…

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