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take a breather

第30章 Still...

「俺、聞いてねぇぞ?」

「うん。言ってないもん」

「なんで…」

「自分の道は自分で決めるんだから
智に相談しなくてもいいでしょ?」

「そうだけど…」

いつも俺ばかりが驚かされてるんだから、いいよね?
これくらいの事しても

「俺の夢はね?
俺の書いた設計図で、智に家を建てて貰うこと」

「翔の夢?」

「そう。俺の夢ってなんだろう?って考えた時に
智と一緒に夢を叶えられたらなぁ、って思ったの
でも俺不器用だから、実際に作る事は出来ないだろ?
だから、設計図なら書けるかな?って思ったんだよ」

智くんと一緒に夢を追う為に調べた建築学だったけど
いざ調べてみると、とても興味深いものだった

だから資格を取って、いずれは個人で事務所を設立出来たらなんて、夢が広がっていった

智くんから始まったけど、今はしっかりと俺の夢になっている

「智の夢は俺から始まったけど
俺の夢は智から始まったんだよ」

「翔…」

智くんに一歩近付き、目の前で宣言する

「もう待ってるだけじゃないから
これからは俺も動くからね?」

待つだけじゃもう嫌だ
智くんと一緒に夢を追いかける

「ふふっ…やっぱ可愛いなぁ、お前」

智くんの腕が背中に周り抱きしめられた

「ちょっ!智っ…
こんな大勢の人がいる所でっ…」

「自分から寄ってきたのに照れるなよ」

「べ、別に、抱きしめて貰おうと思って近付いたんじゃないよ…」

「安心しろ、ここは情熱の国だ
街中で抱き合っていたって、誰も気に留めねぇ」

「でも、男同士…」

「友達同士でも抱き合うから大丈夫」

ホントかなぁ…

そう疑ってはみるけど
実際智くんの温もりに触れるのは久しぶりで、嬉しいのは事実

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