テキストサイズ

take a breather

第6章 season

智はさっき俺が使っていたよりも少し濃いピンクの色鉛筆を持った

俺が染めた紙に何か描いていく

「何描いてるの?」

「ん?さくらだよ?」

「ふ〜ん」

真剣な表情で絵を描く智を見て、この一年疑問に思ってた事を聞いてみた

「ねぇ、智…なんで美術部入らなかったの?
休みの日まで絵を描いてるのに…」

「本当はさ、高校に入学するまではどっちでも良かったんだよ
入っても入らなくても絵を描くことには変わらないから」

「じゃあなんで入らなかったの?
あんなにしつこく井ノ原先生に勧誘されてたのに」

「部活に入ったら翔と一緒にいる時間が減るから…」

「…は?」

なんだ?その理由
意味のわからない理由に混乱し
智の方を向くと智は俺のことを見つめてた

「だから、前に言っただろ?
翔が美術部に入るなら入るって」

「え…あれ、本気?」

「うん、半分本気。
翔がいる場所にいたいから
翔が美術部にいるならそこにいるしかないだろ?
でも、ふたりきりにはなれないから入って欲しくはなかったけどね」

つまり、智は俺といる為なら美術部に入るけど、それ以上に俺とふたりきりでいることを望む、と…

なんだよ、それ…

聞き様によっては愛の告白みたいじゃん…

ストーリーメニュー

TOPTOPへ