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take a breather

第6章 season

「……ふぇ⁈」

今、智は俺にナニをしたっ?

「智…お前、なにしてっ…
誰かに見られたらっ」

「大丈夫だよ…誰もいないから」

後ろを振り向く智につられ、俺も後ろを振り返った

サッカー部のヤツらはいつのまにか練習を切り上げ
校庭には俺たち以外誰もいなかった

「と、いうことで誰もいないからいいよね?」

「なにが?」

「キス…していいよね?」

「へっ?なんで…」

「だって、翔が言ったんだよ?
『誰かに見られたら』って…
誰も見てないんだからいいでしょ?」

智の手が俺の頬に触れた

なんだよ、その理屈…そんな理屈通るか

そう思っているのに

なのに俺は…

近づいてくる智から逃れようとはしなかった

そんな俺の様子を見て、智が嬉しそうに微笑えんだ

その微笑みを見ながら俺は瞼を閉じていく…

直後に触れた智の唇は、先程よりも長く…
そして、しっかりと触れた

なんで俺は智からのキスを受け止めた?


だって…嫌な感じがしなかったんだ
最初にキスをされたとき

それに『好きだよ』と俺に告げる智に、何故か胸がキュンとなった

だから試してみたかったんだ…

もう一度智にキスをされたら…俺はどう感じるのか

さっきスケッチブックを染めた時と同じように
感じたまま自分の心に従ってみようと思った…

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