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take a breather

第6章 season

掴んでいた智の腕をグッと引き寄せるように強く握った

智とのキスは気持ちよくて
夢中で智の舌の動きに応えてた

「ふはっ…」

キスから解放された瞬間
ふわっとした感覚に襲われ、そのまま智の胸に倒れこむ

そんな俺を抱きとめると両腕で優しく包み込んでくれる智

「大丈夫か?」

頭上から聴こえる智の声が甘くて…
体の奥が小さく疼いた

「ん…」

小さく頷き目を閉じる…

智の心音が聴こえる
人の心音って落ち着くんだよね
このまま寝ちゃいたいな

「翔…」

「ん?」

「俺…汗臭くない?」

「ぷっ!今それ聞く?」

甘い余韻に浸ってたのに

「だって今日暑かっただろ?
汗いっぱいかいたから臭いんじゃないかと思って」

ほんと気取りがない人

でも、だからこそ居心地がいいんだろうな

「臭くてもいいよ
智の匂いだもん」

智の背中に腕を回しギュッと抱きしめた

「そっか」

嬉しそうな智の声

俺の気持ち、ちゃんと伝わった?
俺の想いも結構重いでしょ?

「智…」

「ん?」

「前に付き合ってる人いたの?」

「ははっ、それ今聞く?」

「だってさ、今までこんなキスしたことないのに
こなれた感じがしたから」

「いないよ
キスだって自分のしたいようにしただけだし」

「そうなんだ」

「翔は?いたの?付き合った人」

「ん…一応いた」

「なに?一応って…」

「中学の時、隣のクラスの女子に告られたけど
部活が忙しくて、何度か一緒に帰ったくらい
気がついたら彼女、他の奴と付き合ってたよ」

「そっか…よかった」

「よかった?」

「うん。だってその子と別れてなかったら俺と付き合ってくれなかっただろ?
だからよかった…」

そうだよな…彼女がいたらわざわざ男と付き合おうなんて思わない

「智…」

「ん?」

「俺も良かった…彼女と続いてなくて」

そう言うと智は幸せそうな笑顔を浮かべた。

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