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take a breather

第6章 season

翌日は一日中家の中で過ごすことにした

昨夜の体のダルさがまだ残っているのと
智が絵を描きたいと言ったから

明日になれば3人も来るし
遊びに行くのはその時でいい
今日は智とふたりでまったりと過ごそう

朝食を食べた後、ソファーの上に寝転んでタブレットで本を読む

俺の向かい側では智が絵を描いていた

いつもなら隣で描くのに…

智の体温が傍にないことに少し寂しくなる

タブレットを胸に伏せた

「智…」

「ん?どうした?まだ体怠い?」

心配そうに俺を見る

「ううん…もう大丈夫
ねぇ、何の絵描いてるの?」

「え?あ…えっ、と…」

わかりやすく視線を斜め上に逸らした

なんだ?なんでそんなに言い淀むんだ?

「智、見せて。その絵」

「いやっ、ほらっ、まだ描き終わってないから」

スケッチブックを背中に隠す

「さ〜と〜し〜」

俺は立ち上がり智に近づいた

俺に見せられない絵って何?
今まで一度だってそんなことなかったよね?

智に抱きつき背中に腕を回した

身長は俺の方が大きいんだから
智が抵抗しても、動きを封じ込めることは出来るんだよ?

智の手からスケッチブックを奪い取る

「あっ!やめろっ!」

俺の手から更に奪い返そうとするが
その前に開いて中を確認した

「…え…」

これって…俺専用のスケッチブックの方だったのか…

描かれていたのは俺、なんだけど…

「なんでこんな絵描いてんの!」

これ…どう見ても昨夜の俺だよね?

「初めてなんだから記念だろ?
それにさ、すっげぇ綺麗だったから残しておかないと、と思って」

フニャっと笑う智。

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