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take a breather

第6章 season

その後も幸せな高校生活を過ごす俺と智

3年生になってクラス替えもあったが
文系の大学を受ける俺と智は同じクラス
他の3人は理系だから別れてしまった

それでも放課後、たまにだけど5人でファストフードに寄り道したりして交流は続いてた

夏休みが終わるとクラスの様子も一気に受験モード

俺も塾に通い始め、智と一緒に過ごす時間が徐々に減っていく

智は東京の芸大に進むみたいだから
俺も東京の大学をメインに何校か志望校を絞り始めた

秋のはじめ
智が頻繁に井ノ原先生の所へ行くようになる
最初は進学のことで相談をしているのかと思ってた

でも様子が変だ…
俺と話していてもうわの空

秋の終わり…志望校が定まった頃になると
俺から目を逸らすことが増えた

何かあると感じた俺は
放課後、ふたりきりの教室で智を問い詰めた

「何隠してるの?」

「えっ⁈」

「俺に隠し事してるよね?」

そう聞くと智はあからさまに視線を逸らした

「浮気した?」

俺に隠し事するなんてよっぽどの事

「してないよっ!」

これだけキッパリと言い切るってことは浮気はしてない
それにそこは疑ってないしね
でも、他に何も思い当たることもない

「じゃあなに?ハッキリ言ってよ
そんなに挙動不審にされたら気になって仕方ない」

智の目をじっと見つめ続けた

すると決心したのか『ふぅ〜』っと大きく息を吐いた智が俺の目を見つめ返した

「翔…俺、東京の大学には行かない」

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