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take a breather

第6章 season

「向こうでどんな生活してたの?」

「ん?何カ国か周ったけど大体同じ生活だったよ
昼間はあちこち見て周るか、絵を描いて
夜はひたすらバイト…
行くときに親の援助はあったけど
すぐに底を突くだろうと思ったからさ」

「キツい生活だったんだね…」

「そうでもないよ
好きなことやるためだし
それに…」

智が俺のことを見つめた

「それに?」

「それに、何の成果も得ずに帰ったら翔に恨まれる…
そう思うたび励みになったよ
一刻も早く多くの事を吸収して
一刻も早く翔のいる日本に帰ろうって」

「智…」

俺『待たない』って言ったのに
それでも智の中に俺は居続けたんだ
しかも励みになってたなんて…

「翔…俺の自信作、見てくれる?」

「自信作?」

「あっちで描いた絵なんだけど、お気に入りでさ
翔の感想を聞かせて欲しい」

「俺の感想でよければいいけど」

智は嬉しそうに微笑むとスーツケースに手を掛けた

「ちょっと待ってて」

スーツケースの中から布に包まれた絵を取り出す

「結構大きいね」

縦横のサイズはそうでもないけどキャンバスにしては厚みがある

「これ三部作なんだ」

布の中から3枚のキャンバスが出てきた

外した布を地面に敷きそこにキャンバスを置く

一番上に置かれたキャンバスに描かれていたのは…

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