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目的の書類を見つけ、資料室を出るときにもう一度そいつに声を掛けた

「じゃあ、頑張れよ」

「はい、ありがとうございました」

笑顔で礼を言われ、上機嫌で課に戻る

そこで自分の落ち度に気が付いた…

『名前とどこの課なのか聞いときゃよかった…』

まぁ、知ったところでなんなんだって話なんだけど
なんとなく知っておきたかった

あ、でも新人ってことは…

「おい、相葉」

隣の席に座るうちの課の新人の名を呼んだ

「はい、なんですか？大野さん」

爽やかな笑顔で返事をする
好感の持てる後輩

「お前の同期にさ、綺麗な二重瞼でアーモンドみたいな目した奴いるだろ？」

「アーモンドみたいな目、ですか？」

一瞬だけ考え、すぐに『あぁ…』と頷く

「翔ちゃんのことか」

「しょうちゃん？」

「えぇ、おそらく営業3課の櫻井だと思いますよ？」

営業3課？松兄のところか…

「櫻井がどうかしました？」

「あ、いや…今資料室で見たことない奴がひとりで片付けしてたから『誰かな』って思っただけ…
教えてくれてサンキューな」

「いいえ」

相葉はニコッと微笑んで仕事に戻った

『櫻井翔か…』

名前を知っただけなのに顔が緩む

それからというもの
櫻井の姿を見かけると何故かにやけてしまう俺がいた。