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take a breather

第7章 コイゴコロ

半年もすると社内で櫻井の話を良く耳にするようになった

仕事は早くて正確、性格は素直で爽やかな好青年
見た目は文句なくイケメンだし

女性社員の中では彼氏にしたい新入社員No.1の評価を得た

実際に何人かトライを試みたが
櫻井の返事は『今は仕事を覚えたいから、ごめんなさい』とのこと

そんな噂が社内に流れると女性社員たちも櫻井の恋人の座は諦めたようだ

まぁ、俺も一年目は覚えることが多くて恋愛どころじゃなかったもんな

大学時代から付き合ってた彼女とも自然消滅に近かったし

最後に彼女から来たLINEはクリスマス直前
『とっくに終わってると思うけど
一応ハッキリさせとくね
もう、終わりにしよう さようなら』

絵文字もなしの文字だけのメッセージ

ハッキリさせたいってことは、好きな奴でも出来たか…

ちょっとホッとした

ずっと彼女を放ったらかしにしておいて
気にはなっていたから

自然消滅ならそれでもいい…
でも、デートもしないのに『恋人』という名前だけの関係に縛り付けていたら申し訳ないと思ってた

それでも余りにも放置しすぎてて
今更俺から連絡するのも躊躇われてた

本当は会って話し合うべきこと
謝罪をするべきことなんだろうけど
でも彼女に新たな恋人が出来ているなら会わない方がいいだろうと判断し
『ごめん、ありがとう』とLINEで返信した

彼女からは『こちらこそ ありがとう』と笑顔のイラストのスタンプが送られてきた

彼女のサバサバとした性格に感謝した
付き合う決め手もそこだったよな

元々友人関係だった彼女に告白されて
『こいつなら面倒くさくなさそうだからいっか』って軽い気持ちでオッケーしたんだ

軽い気持ちでなんか付き合うもんじゃないな…
彼女に悪いことした。

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