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take a breather

第7章 コイゴコロ

仕事終わりに櫻井に声を掛けた

少しでも早く櫻井との距離を縮めたい
仕事をして行く上で意思の疎通は大切なこと

今日一日を通して、何となく櫻井がずっと緊張しているように見えた
だから、その緊張をほぐしてやりたくて飲みに誘った
決してやましい気持ちじゃないぞ

一瞬躊躇する櫻井

急だしな…今時の若者は上司と飲みに行くのを嫌う、なんて話も聞く

「あの…ふたりきり…ですか?」

「あ、うん。そのつもりだったけど
都合悪い?急だもんな」

櫻井に嫌われるのだけは避けたい
そう思って断り易くしてやったのに

「あっ、いえっ…全然大丈夫です」

慌てて否定する櫻井

「無理じゃなくて大丈夫だぞ?
パワハラとか嫌だから」

気を遣わせたくなくて再度確認する

「パワハラだなんてとんでもない!
是非ご一緒させてください
帰ってもどうせひとりで食事するだけですから」

そう言って微笑んだ櫻井は今日一で可愛い…
またまた緩みそうになる顔を必死に引き締め

「んじゃ行くか」

と、何気なく言った

「はいっ」

嬉しそうにニコッと笑う櫻井に今度こそ頬が緩む
慌てて手で口元を覆い歩き出した

櫻井が付いてくる気配を確認しながら
小さく深呼吸をし平常心を取り戻す

『今日は仕事仲間として親交を深めるのが目的だぞ!』

これ以上可愛い櫻井を見ても耐えろ…俺。

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