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take a breather

第7章 コイゴコロ

「よかった」

拒絶されなくて…

櫻井に俺の想いを伝えたくて、今までのことを話した

もっとちゃんと俺の気持ちを知って貰いたい…

そう思っていたのにタイムリミット

「大野さん…家ココです…」

残念…まだ一緒にいたかったのに…

握っていた櫻井の手を離すと
俯く櫻井が寂しそうに見えた

可愛いな…

「櫻井」

気がつくと櫻井の頬に手を添えていた
顔を上げた櫻井と視線が絡む…

「唇、大丈夫そうだな」

さっき触れた時に思った思いが蘇る

『その唇にキスしたい…』

「あ、は…」

櫻井が返事をする前に塞いでしまった唇

「思った通り…柔らかくて気持ちいい…
じゃあ、また明日な…今日は早く寝ろよ?」

咄嗟にとってしまった行動が照れ臭さくて
櫻井に帰宅を促した

「は、い…」

フラフラと歩き出した櫻井が部屋まで辿り着くのを見届け
俺も駅に向かって歩き出した

そしてひとりになって
冷静さを取り戻し気が付いた

俺、櫻井に『一目惚れだったのかな』とは言ったが
告白らしい告白もしてなければ、付き合ってくれとも言ってない

櫻井に関しても何となく『俺のこと悪く思ってないよな』くらい

櫻井の気持ちを確認してないのにキスしてしまった

マズイ!今の状況は非常にマズイ!
松兄の言う『中途半端に手を出す野郎』になってないか⁈

松兄にバレたら殺される!

今から櫻井の所に戻るか?
いや『今日は早く寝ろよ』って言っておきながら戻るわけにいかない…

しゃあない…明日もう一度櫻井とちゃんと話をしよう
それまで松兄にバレないことを願うしかない…

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