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take a breather

第7章 コイゴコロ

「やっと口を割らせたら、智にキスされたって言うだろ?

最初は初日から上手いことやりやがったな、ってお前のこと感心したんだよ

なのに話を続けてると、付き合うかは分からないって言いやがる

『キスしたのにどういうことだ?』って聞いたら『大野さんにそこまでは言われてないから分からない』って

翔にそんな風に思わせてるお前のどこが中途半端じゃないんだ?」

仰るとおり…何も言い返せません…

「松兄…ごめん…」

謝罪の言葉を言うと、松兄の手が俺のネクタイをグイッと掴んだ

「お前っ!まさか本当にいい加減な気持ちで手ぇ出したのか⁈」

「松岡さんっ、やめてください!俺なら大丈夫ですから!」

松兄の腕を掴み、俺から離そうとする櫻井

「いいや!お前が良くても、俺が許せん!
コイツは俺と約束したんだ『大事にする』って
だから俺はお前を智に任せたのに」

「松兄、聞いてくれ
約束を破った訳じゃない…

でも、言葉が足りなかった

俺は櫻井と付き合うつもりだし
ちゃんと大切にする
だから櫻井のことは俺に任せてくれ」

松兄の手から力が抜けた

「その言葉、嘘じゃねぇだろうな?」

「嘘じゃない
一年以上掛かってやっと松兄からお許し貰ったんだぞ?
そんな簡単に手離すようなことしないよ」

「わかった…
でも、次は無いからな?
次、翔に誤解を与えるようなマネしやがったらすぐに翔は返して貰うぞ?」

「うん、いいよ。そんなこと絶対しないから」

松兄の目をしっかりと見てそう言うと
松兄は俺の頭に手を置いた

「その言葉、信じたからな」

俺は大きく頷いた。

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