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take a breather

第7章 コイゴコロ

櫻井とふたりで自分たちのフロアに戻った

「櫻井、ちょっと来て」

「はい…」

そのままミィーティングルームへ

櫻井が部屋に入り、ドアを閉めるとドアから離れなるべく部屋の奥へと歩いて行く

櫻井と向き合って立つと櫻井は少し視線を下げた

「ごめんな…俺がハッキリ言わなかったから
お前もどうしていいか分からなかったよな?」

櫻井は小さく頷き、視線を下げたまま話す

「昨日、大野さんにキスされて浮かれてたんですけど
松岡さんに『じゃあ付き合うんだな』って聞かれた時『あれ?』って思っちゃって…
そんな話は一言もされてないよなって…」

「うん…俺も昨日お前と別れてからその事に気が付いて
今日ちゃんと話さなくちゃと思ってたのに
その前に松兄に呼び出されるとはな」

「ごめんなさい…俺が上手く誤魔化せたら良かったんですけど
俺自身、ちょっとショック受けちゃって…
もしかして、大野さんはその場だけのノリだったのかな、って」

ショックを受けたって事は櫻井を傷つけたってことだよな

「ほんとごめん…松兄に怒られて当然だ」

俺が謝ると櫻井はようやく顔を上げ、首を横にふるふると振る

「大野さんが悪いんじゃありません…
俺がもっと大人の対応出来てたら
キスされたくらいで浮かれてたから…」

「『キスされたくらい』なの?」

「え?」

「櫻井にとっては俺とのキスってその程度の事なの?」

そう言うと櫻井は顔を真っ赤に染めた

「いいえっ!そんなことないですっ
俺にとってはとっても大きな出来事ですっ
でも大野さんにとっては大した事じゃないのかも、って…」

「俺にとってもとても大きな出来事だよ?
だから昨日はそれだけで満足しちゃって
大切な事を伝え忘れて帰っちゃったんだ…」

大きく息を吸い吐き出し
改めて櫻井の瞳を正面から見つめる

「俺 櫻井のこと好きだ
だから俺と付き合ってください」

ふわっと花が開くように微笑んだ櫻井

「…はい、よろしくお願いします」

恥ずかしそうに…でも真っ直ぐ俺を見つめ返し答えてくれた。

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