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take a breather

第7章 コイゴコロ

既に飲みはじめている岡田の向かい側に座った

俺が座るとチラッとこちらを見る

「大野さん…でしたよね」

最初に挨拶したし、何度も櫻井が呼んでんだろ
なんだよそのわざとらしい聞き方

「はい、そうですけど」

「翔とはどういった関係なんですか?」

「どういったって…」

櫻井が会社の先輩と紹介した以上
了承なしに『恋人』とは言えない

「一昨日ウチの課に配属されて、俺の仕事手伝って貰ってますけど…」

俺のたっての希望でな

「一昨日?それ以前の付き合いは?」

「特には…挨拶を交わすくらいの付き合いです」

「その程度の付き合いで、たった二日しか一緒に仕事してないのに
いきなり部屋に泊めて貰うんですか?
随分と遠慮のない方ですね」

悪かったな遠慮のない奴で
お前が『泊めろ』なんて言わなきゃ
俺だって『泊めて』なんて頼まないよ

「そう言う岡田さんもいきなり押し掛けたようなもんじゃないですか」

「俺と翔は長い付き合いですから
こんな事今に始まった事じゃない…
翔だってすんなり受け入れたでしょ?」

そう言われ、口を閉ざした俺を見て
ニヤッと勝ち誇った笑いをする

こいつ…もうわかってるよな…
俺が櫻井に惚れてる事
だから挑むような強い瞳で俺の様子を伺ってるんだ

「あれ?大野さん、まだ飲んでなかったんですか?
ビールじゃない方が良いなら焼酎もありますよ?」

着替えを終え出て来た櫻井が心配そうに聞いてきた

「ん、いや、ビールでいいよ」

「そうですか?」

俺と同じようなTシャツとスエット姿
ただスエットの長さはジャストフィットだけどな…

はぁ…櫻井の方が背が高いんだから当たり前なんだけどさ
この足元の布のたるみがなんとも…

櫻井を好きになってから
ほんと色々な感情を教えて貰ってるよ…

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