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take a breather

第7章 コイゴコロ

櫻井は自分のスーツをハンガーに掛けると、俺の横にストンと座った

その様子を見た岡田が少し目を見開いた

「はい、大野さん」

「お、サンキュ」

櫻井が缶ビールのプルタブを開け、俺の前に置いてくれた

「大したツマミがなくてすみません」

用意されていたツマミはナッツやちょっとしたスナック菓子と乾き物

いつもこれをツマミに飲んでるのかな?

櫻井の普段の生活が垣間見れるだけでドキドキワクワク

岡田の存在は邪魔だけど
岡田がいたからこそ俺も今ここにいられるんだよな…
そういった意味では礼を言うべきか

「いや、十分だよ…腹一杯だし
料理が旨くてさっき食べ過ぎた」

「ふふっ、いつもより食べてましたよね?
本当に気に入って貰えたんだな、って安心しました」

櫻井が嬉しそうに笑った

「『いつもより』?
翔、一昨日配属されたばかりなんだろ?
そんなに何度も一緒にメシ食ってるの?」

「なんで知ってるんです?
俺が一昨日から異動になったの」

「さっき大野さんに聞いたから
それよりも、なんでたった二日前に一緒に働くようになった人のメシを食う量知ってるんだよ」

「なんでって…この三日間、朝食以外は大野さんと食べてるから
大野さんってあまり食べないんだな、って思っただけですけど…」

「昼だけじゃなく夜も3日間一緒にいるの?」

「そうですけど、何か?」

櫻井が小首を傾げた

「だってそれ程親しくないんだろ?
配属されるまでは挨拶を交わす程度だったって」

「配属されるまではそうでしたけど…」

櫻井はもじもじしながら、少し視線を下げた。

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