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take a breather

第7章 コイゴコロ

「俺の『好き』はお前が大野さんを想ってるのと同じ『好き』なんだよ」

「えっ…」

流石にここまで言われればわかっただろ

固まる櫻井に岡田が微笑む

「結構頑張ってたつもりなんだけど」

「ごめんなさい…」

「いいよ、謝らなくて
かえって惨めになる…」

俯く櫻井

「ごめんなさい…」

「だから謝るなよ」

「あっ…」

櫻井が弾かれたように顔を上げると岡田が口を開いた

「2年前さ、アメリカ行きが決まって
お前に気持ち伝えるかスゲェ悩んだ…
でも社会人として新生活が始まるお前に
余計な事考えさせたくなくて
取り敢えず気持ちを伝えず行くことにした
お前の生活が落ち着いた頃
気持ちを伝えに来れば良いって…
でもさ思った以上に日本に帰ってこれなくて
漸く帰って来れた時には時すでに遅し…なんだもんな
参ったよ…」

眉毛を下げ情けない顔をする岡田

「准一さん…」

櫻井もどう声を掛けたらいいのかわからないんだろう…

良くして貰っていた先輩からの告白
でも、その想いには応えられないんだから

「確認して良いか?翔…」

「はい…なんですか?」

「もし俺が2年前、お前に告白していたら
俺とお前の関係は変わっていたか?」

真剣な眼差しで見つめる岡田の視線を受けとめ
見つめ合ったまま少し間を置くと
櫻井は視線を伏せ首を横に静かに振った

「いいえ、それはないです…
あの時点で俺は准一さんに恋愛の念は抱いてなかった…
だからあの時告白されても
すぐに返事は出来ない
准一さんが渡米してすぐに俺は大野さんに出逢い、恋しました
例え准一さんの気持ちを知っていたとしても
大野さんに恋する気持ちは 止められなかった」

凛とした態度で断言する櫻井の姿は意思の強さを感じさせる。

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