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take a breather

第8章 rolling days

警察の人から事故の説明があった

暗闇に突然飛び出して来た野生の小動物、恐らくハクビシン辺りじゃないかって事だけど
それに驚いた運転手が慌ててハンドルを切った
ブレーキも踏んだが夜で道が空いててスピードを出し過ぎていた為 間に合わず歩道に乗り上げてしまったと…

そこに運悪くかあちゃんが歩いていた

店を出てすぐの事故だったから店長が駆けつけてくれて俺にも連絡が取れた

かあちゃんの葬儀の打ち合わせは翌日

店長の国分さんと、かあちゃんと長い間一緒に働いていたというパートのおばさん
そして、ウサギの目の青年が立ち会ってくれることになった

家に帰れたのは深夜2時過ぎ

ウサギの目の彼が送り届けてくれた

「今日はありがとうございました
あの…まだ名前聞いてないですよね?」

「櫻井です…櫻井翔」

「櫻井さん…もしかして、かあちゃんの恋人?」

「うん…今日ね、とも子さん…君のお母さんから電話があったんだ
智くんが認めてくれたから今度一緒に食事しようって…
凄く嬉しそうだったよ『いい子に育ってくれてる』って
だから僕も楽しみにしてた…君に会えること
まさかこんな形で会うことになるとは思ってもみなかったけど」

そう言う櫻井さんの目が涙で潤んでた
でも、涙が溢れることはなかった

きっと俺に気を遣ってくれているんだろう

本当は泣きたいのに必死に我慢してるんだ

そんな櫻井さんの姿を見ていたら
今度は俺がこの人を支えてあげなきゃいけないんじゃないかと思ったんだ

「さっ、智くん⁈」

櫻井さんに抱きついた
(本当は抱きしめてあげたかったけど、身長の関係で抱きつく形になってしまった…)

俺の耳元で櫻井さんが驚く声が聞こえた。

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