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take a breather

第8章 rolling days

「翔さんっ!弁当!」

家を出ようとする翔さんに慌てて弁当を差し出した

「あっ!ごめん、ありがとう
大切なもの忘れるところだった」

それを嬉しそうに受け取る翔さん

翔さんとの生活が始まって3年が過ぎた

高校生になった俺は昼飯は手作り弁当を持参してる

そして翔さんにも同じ物を待たせるようになった

今までは購買のおにぎりやパンで済ませてたって言うから
それならまだ俺が作る弁当の方がいいよな、って…

一緒に生活して暫くしてから知った翔さんの職業

県内屈指の有名進学校
そこの英語科の教師だった

そして、その翔さんに勉強を教えて貰い
俺はこの春からその高校に進学した

「戸締りしたら俺も出るから」

「ん、いってきます」

「いってらっしゃい、って、どうせ学校で会うんだけどな?」

「あ、そっか…
今日は智くんのクラスの授業がある日だね」

「よろしくお願いしますよ?櫻井先生」

「はい、お願いされました。大野くん」

学校で名前で呼びあうのはマズイ

俺と翔さんは戸籍上赤の他人
一緒に生活しているのを知っているのは先生の中でもほんの一部
学校長からも色々と注意点を言い渡されている

特に他の生徒にはバレないよう気をつけるようにと

贔屓目があるんじゃないかと勘違いされないように
俺に不利にならないようにとの配慮らしい

でも、それが正解…
贔屓目はなくても翔さんは学校で人気者だからな
一緒に暮らしてるなんて知られたら
俺、何人に妬まれる事になるんだろう…

問題なのはうちが男子校ってことなんだけど。

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