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take a breather

第8章 rolling days

「おはよ、智」

登校中に後ろからポンと肩を叩かれた

「おう、ニノか…はよ」

ニノは幼稚園からの幼馴染
親同士もよく知った仲だった

かあちゃんが亡くなった時
周りには親戚と暮らすと話していたが
ニノには事実を話した

高校では俺と翔さんの同居を知ってる唯一の生徒

「今日の英語の宿題やってきた?」

「ん、やったよ…忘れる訳にいかないだろ」

翔さんの教科なんだから…

「だよねぇ…ねぇ、後で見せて?」

「やってねぇのかよ」

「ゲームやってたら寝落ちした」

ニヤッと笑うニノ

「仕方ねぇなぁ…たまには自分でやれよ
翔さんに言いつけるぞ?」

「そんな事したら、智が写させてくれてんのもバレるけどね?」

「うっ…」

痛い所を突きやがる
なら写させなきゃいいだけなんだけどさ
ニノの実力ならそれほど手こずる事でもないし

ニノは勉強が苦手じゃない
寧ろ成績はいい方…
ただゲームをやる時間が欲しいからやらないだけ
要領が良い奴は授業を聴いてるだけで理解出来るんだよな

俺みたいにじっくりやらないと出来ない奴とは違う

それでも頑張ってこの高校に入ったのは
少しでも翔さんの近くに居たいから…

高校を卒業したらもう一緒に暮らす理由はない

そしたら俺は翔さんの家から出て行かなきゃならないんだ

これ以上、翔さんの世話になる事は出来ない
翔さんを自由にしてあげないと…

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