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take a breather

第8章 rolling days

「さぁ、昼だ昼!
ニノ、おおちゃんメシにしよ」

高校に入ってから友だちになった相葉ちゃん
特上の笑顔で弁当片手にやって来た

「あんた、さっきまで死にそうな顔して授業受けてたのに、急に元気だね」

「だって2番目のお楽しみなんだもん」

「2番目の楽しみが弁当って…何しに学校に来てんだよ
で?1番目の楽しみはナニ?」

呆れながらも1番を聞くんだ…

「ん?もちろんニノに会えることだよ?」

変わらず笑顔で答えるとニノが小声で呟いた

「アホか…小学生じゃあるまいし…」

ニノの呟きが聞こえているのか いないのか…

相葉ちゃんは机の向きを変え、ニノの机と合わせた

各々の弁当を広げると
相葉ちゃんが俺の弁当を覗く

「おおちゃん今日はハンバーグかぁ
すげぇなぁ…おおちゃんのかあちゃんって料理上手?
おかずが何個もあって、色どりも綺麗だし
俺のかあちゃんなんてご飯の上に焼肉乗っけただけだよ」

そう言って弁当箱を俺に見せる
確かに肉が大量に乗ってる…
食べ盛りの男子高校生の弁当って感じだ

「うるさい!あいばか! 黙って食え!」

「え〜、酷いニノちゃん。楽しく食べようよ〜」

ニノが冷たく言い放つけど
きっと俺に気を遣ってくれてんだよな…
俺には弁当を作ってくれるかあちゃんはいないから

「俺、自分で弁当作ってんだ」

「えっ⁈おおちゃん、料理作るの趣味なの?」

「趣味じゃねぇよ…必要に迫られてやってるだけ
ウチ、かあちゃんいないから」

事もなげにそう言うと相葉ちゃんの箸が止まる

「え…」

「俺、両親死んでんだ…
今は親戚の人に世話になってる
その人料理苦手だから、俺が毎日メシ作ってんの」

笑顔でそう言った

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