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take a breather

第8章 rolling days

「ごめんっ」

相葉ちゃんが申し訳なさそうな表情で謝って来た

「謝んなよ…別に悪いことしたんじゃねぇんだから」

「でも…」

「俺のこと可哀想だと思った?」

そう聞くと相葉ちゃんは視線を下げる

「うん…」

「俺、可哀想じゃないよ?
とうちゃんが死んでからは
かあちゃんがとうちゃんの分も愛してくれたし
かあちゃんが死んでからは
今 面倒みてくれてる人がすっげぇ可愛がってくれたから全然寂しくないし」

「そうそう。智の同居人 めちゃめちゃ良い人だもんね
一緒に暮らせて幸せなんじゃないの?」

「おう…まぁな」

かあちゃんが死んですぐの時は俺が翔さん守らなきゃ、って思った

でもこの3年間振り返ってみると
結局守られてたのは俺だった

いつも一緒にいてくれて
休みの日には遊びに連れて行ってくれて
晩飯はよっぽどの事がない限りふたり揃って食べた

かあちゃんとでさえこんなに一緒に過ごした時間は
小学生の低学年の頃くらいまでなんじゃないかな

俺が高学年になると店長に頼まれて
週2回くらいは遅番のシフトに入ってた

今考えると店長に頼まれた時断ってたら
かあちゃんと翔さんの出会いはなかったんだよな…

学生の翔さんは夕方以降にバイトに入ってたって言ってたから

そう考えると、あの店長がふたりを結びつけたってことか…

人の縁って不思議だよな…
何がキッカケで出会うかわからないんだから…

俺と翔さんの出会いも不思議なもんだ

かあちゃんがキッカケなのに
そのかあちゃんが生きている内に 3人で会ったことはないんだから

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