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take a breather

第8章 rolling days

「そんな素敵な人なの?」

「ん?」

「おおちゃん今 笑ってたよ?
だから同居人さんって人、本当に素敵な人なんだろうなって…」

「あぁ…スゲェ良い人だよ
あの人がいなかったら俺、相葉ちゃんが言うように可哀想な人になってたかもな」

翔さんがいなかったら…
自分を可哀想なヤツだと思ってたかもしれない

でもそんな考えをする暇もないくらい
翔さんは俺と共に過ごしてくれた
寂しいなんて考える暇 なかったんだよ

学校から帰れば 翔さんの喜ぶ顔見たさに
あれこれ料理サイトを見て夕飯の献立考えて

調べ終われば買い物に出て
帰ってくれば部屋の掃除と洗濯物の片付け…

翔さんはそんな事しなくていいって言ってくれたけど
タダで住まわせて貰って メシまで食わせて貰うわけにはいかない

本当は家賃と食費を払わなくちゃいけない身なのに
翔さんはそれを受け取らなかった

とうちゃんは独身生活が長かったせいか
そこそこ遺産を残してくれていた
でもかあちゃんはそれにはなるべく手をつけず
俺名義の通帳に残しておいた
俺の進学の為に取っておくんだと…

かあちゃんも事故で亡くなって 相手から慰謝料が貰えたから
生活費を払えなくはなかった

でも翔さんは『大学に行くにはいっぱいお金が掛かるんだよ?だからなるべく取っておこう』って言って
俺の月々のこづかいと必要経費だけにしかそのお金を使わなかった

こんな素敵な人と巡り合わせてくれたかあちゃん
本当にありがとう

かあちゃんの日頃の行いが
翔さんとの出逢いに繋がったんだな

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