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take a breather

第8章 rolling days

「でもさ、その弁当を朝作るなんて おおちゃん凄いね、大変じゃない?」

相葉ちゃんがメシを掻き込みながら俺の手元を見る

「そうでもねぇよ
ハンバーグなんて夜メシで作った時にサイズ小さく作って冷凍保存してるだけだし」

「おー!主婦だね
そうそう 弁当と言えばさぁ
櫻井先生の弁当も相当凝ってるって話だよ?」

「へっ?」

「へぇ〜そうなんだぁ」

ワザとらしいぞ、ニノ…
翔さんの弁当も俺が作ってるって知ってるくせに

「去年までは買い弁だったのに
今年度になってから手作り弁当になったから
料理上手の彼女でも出来たんじゃないかって噂だよ」

「どこでそんな噂話してんだよ」

「ん?部活の先輩たちが話してた
結構狙ってる人いるみたい
『俺たちのオアシスがぁー!』って、嘆いてたよ」

オアシスかぁ…

校内で翔さんを見かけると
大抵の生徒たちは翔さんに笑顔で話しかけてる
だからみんなから好かれてるんだなぁって…

そのオアシスを家に帰ればほぼ独り占めしてんだよなぁ…
やっぱバレるわけにいかない
バレたら俺、どんな目に遭わされるかわかったもんじゃない

「はぁ〜…身の程知らずな奴らが多いんだね」

「櫻井先生も美人だもんね
きっと彼女さんも可愛い人なんだろうな」

「しっかりした年上女房かもよ?」

「あ〜、そっちもありそう
甘えてる櫻井先生もきっと可愛いだろうなぁ」

相葉ちゃんは事情を知らないからしょうがない
でもニノ…お前 完璧楽しみだしたな
さっきから俺のことチラチラ見やがって

俺は可愛い彼女でもなければ
年上女房でもねぇよ!

亡くなった彼女の子供…
俺と翔さんの関係はただそれだけ…

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