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take a breather

第8章 rolling days

俺が翔さんに対して特別な気持ちを抱きはじめたのはいつ頃だっただろう…

ふたりで生活を始めた時は、そんな気持ちこれっぽっちも持ってなかった

かあちゃんの恋人だった人だし…
俺にとっても恩人と言っていい人

はじめから『好きな人』ではあったけど
あくまでもそれは人として尊敬出来る人であったから

それ以上の想いはなかった

同居が始まった当初は翔さんを慰める為
布団に潜り込んで抱きついて寝てた

それがいつの間にか俺が翔さんの温もりに安らぎを得るようになってた

身内と言える人がいない俺…
そんな俺にひとりだけど独りじゃないんだって思える安心感をくれた

その安心感が次第に形を変えていった

保護者的な立場な筈なのに
一緒に過ごし翔さんの優しさと温かさと可愛らしさに触れているうちに
段々とそういう目では見られなくなっていった…

近くにいるとドキドキするようになり
そのことに戸惑いを感じはじめた俺は
布団に潜り込むことをやめた

俺がそんな想いを抱えているなんて
翔さんに知られるわけにいかない…

翔さんにしてみれば
恋人の子供だから俺を引き取ったんだから

俺の想いに気付いたら きっと…いや絶対 翔さんは俺から離れていく

想像しただけでキモいだろ?
彼女の息子に恋心を抱かれるなんてさ

世話になってる身でそんな思いを翔さんにさせちゃいけない

だから高校を卒業するまでは絶対にばれちゃいけないんだ

俺が翔さんの事を愛してる…なんて…

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