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take a breather

第8章 rolling days

翔さんは長野先生の机の上の物を避けながら資料を探してくれた

「ああ、これかな?」

プリントの束にうちのクラスが書いてあるメモが貼ってあった

「そうみたいですね」

「長野先生には僕から言っておくから
それ持って行っていいよ」

「はい、ありがとうございました」

「どういたしまして」

ニコッと笑う翔さん

「助かったのは僕の方だよ」

また小声でそう呟いた
松本先生はどうしただろう?と机の方を見たけど
そこに姿はなかった

もう大丈夫かな?
そう思って翔さんを見ると翔さんも『うん』と頷いた

俺が気にしてるのわかったんだ

「じゃあ、戻ります」

翔さんに頭を下げ職員室から出た

それにしても相葉ちゃんが言ってた事は本当だった

松本先生は翔さんのこと狙ってるんだ

あの舌打ちした姿を見て確信した

どうしよう…今はたまたまその現場に遭遇したからいいけど
これからも翔さんは松本先生に誘われ続けるのかな…

上手く断れる方法ないかな…
そもそも翔さんは嫌なんだよな?食事に行くの

じゃなきゃ何度も断らないだろうし…

翔さんが誘いを受けない理由って何だろう
松本先生が言うように一度くらい行ってもいいと思うんだけど…

いや、俺的には良くないよ?

翔さんが松本先生を好きならまだしも
そうでもないなら尚更

松本先生 押しが強そうだから
誘いに乗ってしまえば何をされるか心配

でも…翔さんがかあちゃんの事をまだ気にして断っているだけなら
受けてもいいんじゃないか、って気もする

そろそろ次に進んでもいいんじゃないかと最近は思うんだ…

だって、翔さんはまだ若いんだから

かあちゃんがひとりきりでいた頃
幼い俺がそう思っていたように…

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