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take a breather

第8章 rolling days

「はい!はい!はい!はい!」

相葉ちゃんが勢いよく手を挙げる

「Feel free to ask any questions.」

翔さんは笑顔で質問を促した
積極的に学ぶ姿が嬉しいんだろう

それなのに相葉ちゃんがした質問は…

「櫻井先生は恋人いるんですか?」

授業に全く関係ないし…
英語での質問でもない…

質問された翔さんも思ってもいなかった事をされたから
ハトが豆鉄砲くらったみたいに目を見開いて固まっている

他の生徒たちも興味があるのか
誰も口を挟まず翔さんの動向を見守っている

「え…あの…いま、せん…」

漸く翔さんから出た答えはそれだけ…
なのに教室の中は『ほぉ〜』っと安堵の息を吐く気配に満ち溢れた

「じゃあじゃあ、好みのタイプ教えてください!」

「こっ、好みっ⁈」

真面目な翔さんは生徒からの質問をはぐらかすってことが出来ないんだろうな
今までこんな質問を授業中にされる事もなかったんだろう…

少し頬を紅く染め、恥ずかしそうに口を開く

「え、と…強くて優しい人…」

「「「おーっ!」」」

野郎どもの唸るような声

「じゃあ、じゃあ…」

キーンコーンカーンコーン…

相葉ちゃんが次の質問に移ろうとした時
終業のチャイムがなった

「「「え〜」」」

無念の声がクラス中に響き渡る

「Stand up!」

俺はすかさず号令を掛け終わりの挨拶をした

挨拶が終わるとホッとした表情を見せる翔さんと目が合った

『thank you…』

翔さんは声は出さずに唇だけ動かし 教室のから出て行った

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