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take a breather

第8章 rolling days

バイト中 今日一日の出来事が勝手に思い起こされる

何度も緩みそうになる頬を引き締めるのに苦労した

3時間のバイトが終わり すぐに翔さんにLINEを送る

『今から帰るね』

お疲れ様のスタンプがすぐに返ってきた

一刻も早く翔さんに会いたくて走って帰宅

「ただいま」

「おかえりっ」

ドアを開けるのと同時に翔さんが玄関まで迎えに出てきてくれる

部屋の中にはハヤシライスの香りが漂っていた

「ちょうど温まったところだよ」

ふたりで並んで部屋に向かう

キッチンで足を止め鍋を覗いた
おたまでかき混ぜ様子を見る

「うん、ちゃんと出来てる
焦がさないか心配で走って帰って来ちゃったよ」

「ひどい…温めるくらいできるもん」

「ははっ、冗談だよ
翔さんに早く会いたくて急いだの」

剥れた翔さんの唇にチュッとキスすると 微笑み たちまち機嫌が直る翔さん

俺の腕に腕を絡め 目を閉じて唇を突き出してくる

その唇にもう一度チュッとキスをした

「さ、メシにしよ?
折角温めてくれたのに冷めちゃうよ」

「うんっ。用意しておくから智くんは着替えてきちゃって?」

「ありがと」

着替えを済ませキッチンへ戻ると不器用そうにハヤシライスをよそってる翔さんの姿

「代わろうか?」

「大、じょうぶ…」

真剣な表情でおたまを見つめ、タイミングを見計らって『えいっ!』っと皿によそる

そんなに緊張しなくても…と思うんだけど
その様子が可愛くて見惚れてしまう

10歳も年上なのになぁ…

3年前からこの人の可愛らしさは全然変わらない

翔さんがなんで可愛いのかってさ
何事にも一所懸命だからなんだよな

こんな些細な事でも全力で向き合っちゃう
その真面目さが可愛いんだ

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