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take a breather

第8章 rolling days

「よしっ、できた!はい、智くん」

「サンキュ」

ふたつの皿を持つ翔さんからひとつを受け取った

「あ、そうだサラダ作ったんだ
智くん これもお願い」

2つ目の皿も受け取った

「え?翔さんが作ったの?」

「うん。と言っても洗って切って盛り付けただけだけど」

テーブルに皿を置いて座ると翔さんがサラダとドレッシングをテーブルに置いた

「指、大丈夫だった?」

「大丈夫だよ、ちょっと危なかったけど…」

だろうな…翔さんの包丁の使い方、半端なくこぇーし

「さ、食べよ?」

「うん…」

「「いただきます」」

ハヤシライスを掬って口に運ぶ翔さん

「うん!おいしいっ」

笑顔で食べてくれてるのは嬉しいんだけど…

「翔さん…無理しなくていいからね?
必要なら俺が作るし」

「サラダくらいなら僕でも作れると思ったから…」

俺が責めたと思ったのか翔さんのテンションが少し落ちた

「あのね?怒ってるとかじゃないよ?
ただ翔さんに怪我してほしくないだけ」

「うん…でもね、やっぱり僕も智くんの役に立ちたい…」

ウルウルの目で見つめられるとさ、ダメって言えないじゃん

一所懸命なのが翔さんのいいところ…

「じゃあ、今度一緒に練習しようか
ちゃんとした使い方が出来れば危なくないから」

ほんとはさ、仕事で疲れてる翔さんに苦手な家事はやらせたくないけど

本人がやりたがってるのを下手に止めると今日みたいなことになってかえって危険で心配だし

だったら教えてあげた方が翔さんの体の為にも、俺の心の為にもいいよな

「ほんと?邪魔にならない?」

「食材切るのにそんな時間かからないから大丈夫だよ」

「そっか…じゃあお願いします、大野先生」

翔さんがペコっと頭を下げた

「ははっ、俺が翔さんに何か教える日が来るなんて思ってもみなかったな」

「だよねぇ…10歳も年上なのに僕、ダメだよねぇ」

「ダメじゃないよ、そんな翔さんだから好きになったんだし」

「え?そうなの?」

「そうだよ?どんな事でも目一杯頑張る子供みたいな翔さんが好きなの」

「子供みたいって…僕、バカにされてる?」

「してないよ。子供みたいに純粋な人ってこと、褒め言葉だよ」

「そっか、褒められてるんだ」

嬉しそうに微笑む翔さん
そんな子供みたいに素直なところも翔さんのいいところ

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