テキストサイズ

take a breather

第8章 rolling days

「このハヤシライス、玉ねぎトロトロで美味しいね」

「昨日から仕込んだからね
翔さんの作ってくれたサラダも美味しいよ」

「サラダなんてドレッシングの味次第でしょ?」

「いいや、翔さんの愛情も入ってるよ」

「感じる?」

「うん、ビンビン伝わってくる」

「よかったぁ…」

満面の笑み…その笑顔からも伝わってくるよ、翔さんの愛情

今まで抑えていた想いが解放されたせいか
他の誰かが見ていたらバカップルと思われるんだろうな、という発言をしてしまう

でも 俺が言う言葉を翔さんがスッゲェ喜んでくれて
超可愛くて幸せそうだから バカップルでもいいか、って思えちゃうんだ


「ごちそうさま」

食器を片付けようと立ち上がる

「あのね智くん、今日はケーキ買ってきたの」

座ったままの翔さんが俺を見上げた

「ケーキ?」

ふたりの誕生日はまだまだ先
なんでケーキ?

「うん…ふたりがね、恋人になったお祝い…」

俯き加減で照れ臭そうに言う翔さんはやっぱり可愛い

「ありがと、翔さん」

翔さんを背中から抱きしめた

「何かお祝いしたいと思ったんだけど
これくらいしか思いつかなくて…」

「十分でしょ…翔さんと一緒に祝えるんだから」

他の誰かとじゃなく、翔さんとだから意味がある

「うん…僕も、智くんと一緒にお祝い出来て良かった…」

通常だったら巡り会うことのないふたり
巡り会ったとしても結ばれる確率なんてゼロに等しいふたり

その出会いをくれたかあちゃん

ごめんな…かあちゃん
かあちゃんには翔さんと幸せになって貰いたかった

かあちゃんが手に入れるはずだった幸せを俺が手に入れてしまった

でもさ、かあちゃんの事だからきっと笑ってこう言ってくれるだろ?

『子供の幸せ願わない親がどこにいるの!
私のこと、見くびらないでよ』って…

俺、わかるよ…だってかあちゃんのDNA受け継いてんだもん

俺がかあちゃんの幸せ願ってたように、かあちゃんも俺の幸せ願ってくれてたよな
だからいつも笑顔でいてくれた

かあちゃんを安心させるために俺が出来るのは幸せになること

だからふたりのこと…これからも見守っててよ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ