テキストサイズ

take a breather

第9章 Calling

仕事が終わってニノの店に着いた時には7時を過ぎていた
店もちょうど夕食の時間帯で賑わっている

「ごめん大野さん、櫻井さん 手が離せなくてブルーの帰る準備出来てないんだ
6時前にミルク飲ませたから哺乳瓶と粉ミルク忘れないで持って帰って?」

「悪かったな、忙しい時間帯にミルクやって貰って」

「大丈夫、すぐに飲み干してくれたから
もう少しミルクの量増やしても大丈夫かもね」

「わかった、やってみるよ
今日はこのまま裏口から出るな」

「了解」

「お世話になりました」

翔がお礼を言い頭を下げる

「また来週ね」

「はい」

奥の部屋に行くとブルーが布団に入って寝ていた

「ブルー お待たせ、帰るよ」

翔の声が耳に入ったのかピクピクと耳を動かしながらも目が覚めないブルー

「起きないな…このままそっと連れて帰ろう」

「そうですね、お腹がいっぱいだからよく寝てる」

ケージに布団ごとブルーを入れ
テーブルに置いてあった哺乳瓶とミルクの缶をバッグにしまい店を出た

ケージをなるべくゆすらないようにゆっくりと歩く

子供の歩調に合わせて歩く親子みたいだ

「本当に俺たちの子供みたいだな、ブルー」

「え?」

「今の俺たちってブルーを中心に生活してるからさ
世の中の夫婦って子供が出来るとそういうもんだろ?」

「確かに…
今更ですけど迷惑でした?
ブルーを引き取ったのって」

翔が少し不安そうな目で俺を見る

「いいや、全然。
俺が子育て出来るなんて思ってもみなかったからさ、いい経験だよ」

「自分の子供、欲しくなりませんか?」

「それはないな、俺たちの子供はブルーで十分」

「本当に?」

「本当に」

笑顔でそう答えてやると安心した表情を見せた翔

不安なんだな…俺たちの関係

まだ始まったばかりだし
いつまで続くかなんてわからない

なんの保証もない関係…

それは俺にとっても同じ事なんだけどね

ストーリーメニュー

TOPTOPへ