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take a breather

第10章 Lotus

その後すぐに送られてきたメールを確認し、車を走らせた

近くのコインパーキングに車を止め、徒歩でその住所へと向かう

まだ看板も出ていない店

3階建てのアパートの1階部分が貸店舗になっている

ドアを引くと鍵はかかってなかった
店内に人の姿はなく
その奥の工房だろうと思われる場所に人影が見えた

「すみませーん」

少し大きめに声を掛けると 奥にいた人がこちらに気がついてくれた

「はぁい」

「こんにちは、J’s カンパニーから来ました」

「えっ!翔ちゃん⁈」

出てきたその人が、目を見開いて俺の名を呼ぶ

「えっ⁈あ、はい…そうですけど…
あの、なんで私の名前…」

「あぁ…ごめん、相葉ちゃんから写真を見せて貰った事があって
名前も聞いてたから…」

「そうだったんですね?
いきなり名前を呼ばれたのでビックリしました
どこかでお会いしてるのかと思って」

一度会った人の顔と名前を記憶するのは、特技と言っていい程得意な俺

「いいや、はじめましてだよ」

フニャッと笑って手を差し出された

「大野智です。よろしくね」

「櫻井翔です。
こちらこそ よろしくお願いします」

差し出された手を握り返すと、再びフニャッとした笑顔を浮かべる

なんだか可愛らしい人だな…
それにとても優しそう

お客様によってはメチャメチャ気を遣う人もいるけど 大野さんなら大丈夫そう

相葉さんとお友達なくらいだし…

あの人 誰とでもフレンドリーに接するけど
人を見る目は確かだもんな…

そういうとこ、実は尊敬してたりする…

本人に言うと調子に乗りそうだから言わないけどね

「大野様。早速ですけど、袋のデザインのお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「ヤダなぁ…」

「えっ⁈」

良い人そうだったのに、いきなりダメ出し?

結構気難しい人なのか?

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