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take a breather

第10章 Lotus

「じゃあ、話聞かせて貰うね
まずはこの店の名前、教えて貰えるかな」

「名前ね…名前は『Lotus』」

「『Lotus』…蓮?」

「うん、そう。俺 好きなんだ、蓮の花」

「あまりメジャーではないけど、綺麗な花だよね」

「だろぉ?池とかに咲いててさぁ…綺麗なんだけど
綺麗なだけじゃなくて、泥の中から出てくるって根性あるよなぁ
もがき苦しんで出てきて 最後に綺麗な花を咲かせる
俺の人生もそうだといいなって、願いも込もってるんだ」

穏やかな表情で語る智くん…

そんなに歳は変わらなそうだけど
人の考え方ってこうも違う物なんだ

俺、人生観なんて考えた事もないや

まだ若いし、友人たちとの会話でもそんな話題 上がった事ない

「宣伝になるから店名は入れた方が良いと思うんだ
女性は袋を再利用してくれるし」

「うんうん…」

俺のいう事に素直に頷いてくれる

「あとは袋の色と文字の色…それとお店のロゴマークなんかがあればそれも入れていいと思うんだけど、ロゴマークはある?」

「ロゴマークって言うのかな?
看板にね、俺が描いた絵を使って貰うんだけど…」

「絵?看板に使ってるなら良いと思うよ?
ちなみにデザイン画はある?」

「うん。あるよ」

智くんは立ち上がると自分のバッグからファイルを一冊取り出し持ってきた

「これにこの店のオープンに関係する書類 全部まとめてあるんだ
…ちょっと待ってね」

ページをペラペラと捲りあるページで手が止まる

「あったあった。これだよ?」

俺の前にファイルが置かれる

「ありがとう、見せて貰うね」

「あ、飲み物も出さずにごめんね
今コーヒー淹れてくるから」

「いいよ、そんな気 遣わなくて」

「いいから いいから…
ここね、狭いけどイートインスペース作るんだ
だからコーヒーメーカー入れるの
今日、お試しで置いていってくれた機械があるから俺も試してみたくて…付き合ってよ」

言われて見ればコーヒーメーカーが置いてある

「それならいただこうかな…」

「すぐ淹れるね」

智くんが嬉しそうに笑った

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