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take a breather

第10章 Lotus

「でもね?嫌な思いをさせられた相手を『いい子』って言えちゃう翔ちゃんは
もっと良い人だと思うよ?」

智くんに褒められ視線を逸らした

「そんなことないよ…
俺なんて自分の気持ちに嘘がつけなくて
嫌な奴だよ…」

「それは嫌な奴なんじゃなくて 正直者なだけ
表はいい顔してるのに陰で嫌な顔する奴の方がよっぽど嫌な奴だよ」

それは相葉さんにも言われたな…

「翔ちゃん…」

智くんに呼ばれ智くんを見るとフニャッといつもの笑顔を見せた

「俺は正直者の翔ちゃんが好きなの」

真正面から優しい眼差しで見つめられ
『好き』なんて言われたからドキッとした

それだけじゃなく 顔も熱い…

鼓動が早まり ドキドキとうるさいくらいに鳴り響く

「ふふっ…翔ちゃんって ほんと正直者なんだからぁ」

智くんが嬉しそうに笑った

きっともう智くんにはわかってるんだよね

俺が泣いた意味も 顔が熱い理由も…

「翔ちゃん 大好きだよ…」

そう耳元で聞こえた時には
智くんの腕の中にいた…

男の人に抱きしめられてるのに 全然嫌な気なんてしない

それどころか嬉しくなってる自分がいる

そうなると正直者の俺としてはこう答えるしかなかった

「うん…俺も…」

智くんの背中に腕を回し ギュッと抱きしめた

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