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take a breather

第10章 Lotus

少しでも時間稼ぎをして気持ちの準備をしようとしたのに…

智くんは脱衣所に入るなり クルリと俺に向き直り
シャツのボタンに手を掛けた

「えっ!」

抵抗する間もなく 全て外されたボタン

ズボンからシャツが引き抜かれ
あっと言う間に上半身 裸にされた

「え…ちょっ、まって…」

慌てる俺の事など御構い無しに ベルトを外され
ファスナーも下ろされ 全裸にされた俺…

あまりのスピーディーさに 呆然と自分の姿を見下ろした

「さっ、行こう」

智くんの声に顔を上げれば
目の前にニコッと笑う 全裸の智くんがいた…

「えっ!智くんも入るの⁈」

「入るよ?俺だって汗かいたし
サッパリしたいよ」

「一緒じゃなくても良くない?」

これじゃ 心の準備をするどころじゃない…

「いいじゃん、もう脱いじゃったし
俺 翔ちゃんの体洗いたい」

いや…だから それが困るんだって…

さっきのキスだけでもヤバかったのに
智くんの手で体に触れられたら 俺…

「ほら、行くよ」

智くんに手を引っ張られ 浴室に足を踏み入れた

智くんはシャワーヘッドを左手に持ち コックを捻ると手のひらでお湯を受ける

「ん、こんなもんかな?
翔ちゃんココ座って?」

智くんの足元にあるイスを指差した

ここまで来たら逃げる事なんて出来ないよな…

ってかさ、俺 最初から智くんから逃げられた事なんてないんだ

名前の呼び方にしても 敬語を止めることにしても パンを試食することにしても

そして、智くん自身からも…

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