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take a breather

第11章 君のうた

翔がいつもと変わらずにいたから
俺もいつもと変わらず過ごせた…

ほんと情けない兄貴だな
弟に気を遣わせて…

でも 翔はいつから知っていたんだろう?
俺と本当の兄弟じゃないって…

その事に全く気が付かないなんて
俺は翔の何を見ていたんだろう…


「智 最近何かあった?」

「ん、なんもねぇよ?」

「ほんとに?このところ考え込んでること多くない?」

ニノって鋭いんだよなぁ…

人のことよく見てるっていうの?

俺や相葉ちゃんなんかは 隠し事がヘタなタイプだから余計にわかりやすいのかもしれないけど
嘘が通用したことがない…

でも今回のことは さすがにニノに話すのもなぁ…

「…翔ちゃんと…何かあった?」

「えっ⁈」

「わかりやす…」

苦笑いするニノ…

突然の指摘に過剰に反応してしまった
だから嘘がすぐにバレるんだよなぁ…

「それで?何があったの?
翔ちゃんの方は変わった様子ないけど」

あれから毎日 翔は昼休みになると音楽室に来るようになった

ほかの3人とも打ち解け
特にニノと話をしていることが多い

もし 翔が真実を知った時に 既にニノと親しくなっていたら
ニノだったら気付いてやれていたのかな…

「…だから何もないって…」

「あっそ…まぁいいや、智が話したくないなら無理には聞かないよ
でも 話したくなったらいつでも聞くからさ」

「おう…」

「あぁ…智の為じゃなく翔ちゃんの為ね」

「なんだよそれ…」

「だって 翔ちゃん可愛いんだもん
潤くんじゃないけど
俺も翔ちゃんなら『アリ』…かもね」

「はっ⁈お前まで何言ってんの⁈」

「いいじゃん、俺は潤くんと違ってモテモテでもないし
結構一途に大切にするタイプよ?」

それはそうだけど…

「それでも駄目なモンは駄目!
翔はお前にも渡しません!」

「ガード堅いなぁ…さと兄は…」

「お前が『さと兄』言うなっ!」

さと兄って呼んで良いのは翔だけなんだから

「お〜こわっ。
まぁ、俺が翔ちゃん狙ってるのは冗談だけど
どんな相手なら智のお眼鏡にかなうのかな?
俺が駄目なら相当難しいと思うけど?」

『ふふっ』って笑いながら
質問だけを残し俺の元から去ったニノ…

俺のお眼鏡にかなうやつ?

そんなの…

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