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take a breather

第11章 君のうた

それから俺は不自然じゃない程度に翔と距離を置くようになった

あまりにあからさまだと
『本当の兄弟じゃないから』と誤解させてしまうかもしれない

5人でいる時は 翔の隣にいることはなくなった

「翔くん 完璧…もう全曲いけるじゃん」

「本当ですか?みなさんの足、引っ張ってないですか?」

「ぜ〜んぜん!相葉さんの方が危ないくらいだよ」

「なんだとぉ〜!」

「事実を言ったまで」

「ははっ、たしかに!」

「ヒドイ…松潤まで〜」

「そんなことないですよ?
相葉さんのドラム、リズムが正確でやりやすいです」

「翔ちゃんは優しくていい子だねぇ〜」

「ほんとほんと、気の遣えるいい子だよ」

「リズムは間違ってないもんな?リズムは…」

「ムキーっ、それってやっぱり俺がダメダメって言ってるようなもんじゃんか!」

「そんなことないです!
もぉ…みなさん、相葉さんのこと揶揄っちゃだめですよ」

「翔ちゃん ありがと〜大好き〜」

「お前、調子に乗るなよ?」

「あ〜、ごめんなさいぃ…」

4人のやり取りを口を挟まず眺めてた
そんな俺の元にニノが近づいて来た

「智 どうしたの?
いつもなら智が割って入るのに…」

ニノが俺を見て不審がり
小声で話し掛けて来た

「ん?だってお前も言ってただろ?
もう子供じゃないんだからって…
俺が邪魔してたら いつまで経っても翔に相応しい人が現れない」

「そりゃそうだけど…智はそれでいいの?」

「いいに決まってるだろ?
俺はずっと翔の幸せを願ってきた…
その為に守って来たんだ
それを俺のせいで幸せになれなかったら本末転倒だろうが」

「…どっちが本末転倒だかわからないけどね…」

「は?どういう意味?」

「さぁ?自分で考えたら?
子供じゃないんだから…
さ、練習練習…」

ニノが自分の立ち位置に戻って行った

一体何が言いたいんだ?

ニノの言いたいことが理解出来ない…

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