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take a breather

第11章 君のうた

翔のクラスのお化け屋敷から出ると 先程以上に長蛇の列

「翔!10時半に体育館な」

受付で仕事をしている翔に聞こえるように少し大きめに声を掛ける

気がついた翔がこちらを向いてニコッと笑った

「うん、わかった。ありがとね、来てくれて」

列に並ぶ奴らはみんなしてスマホを翔に向けている

本当なら撮らせたくない所だけど
今日はお祭りだから特別許す

あんなに可愛い姿をしていたら撮りたくなるのはわかるし…

ってか、俺も撮っときゃよかったぁ…

当たり前だけど当番終わったら着替えちゃうよなぁ

そんな時になったスマホの着信音
画面を見るとニノからLINEの着信だった

すぐ横を歩いてるのになんで?

画面を開くと何枚かの写真が送られて来てた

「ニノっ、お前いつの間に?」

猫娘の翔の写真…

しかも上手いこと俺も一緒に写ってるのもある

「上手いだろ?
ありがたく思えよ?さと兄」

「お、おう…サンキュ…」

「へぇ〜、素直にお礼言うんだ
ってことは、何か心境に変化があった?」

「ん…あった…」

「それは良かった」

「良かったのか?」

「良かったでしょ。俺、言ったよね?
翔ちゃんに幸せになって貰いたいなら
智の思うようにしなって」

「あぁ…」

「今日の翔ちゃんは楽しそうだったよ?
昨日ふたりで帰ったのが良かったんじゃない?」

「うん…翔の思ってることが聞けたから
今まで通りでいいんだ、って思えたよ」

翔と俺の想いに違いはあるだろう…

それでも翔が俺に傍にいて欲しいと思ってくれてることが
俺に僅かな望みをくれる

あんなに悩んだのに…

今は俺と翔が本当の兄弟じゃないという事実が喜びにすら感じるよ

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