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take a breather

第11章 君のうた

1曲目と2曲目で盛り上がってくれた観客

3曲目のイントロ…翔のピアノが流れると場内は打って変わって静寂になる


今まで歌詞の意味を深く考えて歌ったことなんてなかった…

でも 翔がこの歌が好きだと言うから
もう一度歌詞をよく読み返してみたんだ…

『なんだかこの詩…今の俺だな…』

本当の兄弟だと思っていた頃は毎日じゃれ合っていた

お前が弟ではないとわかって
触れることに躊躇いを感じる『特別な存在』になった
そして今は、誰にも渡したくない…
誰かのモノになる前に奪い去りたいとさえ思う

翔が切なくなると言った意味が今ならよくわかるよ

自分の立場とリンクして自然と歌に感情がこもる

視界の中に翔を捉えると翔が俺のことを見つめてた

ふたりの視線が絡み合う…

俺がお前のこと離したくないって言ったら お前はどう答える?

『流石にそれはかんべんして』って苦笑いで却下する?

それとも『いいよ、さと兄なら』って可愛い笑顔で受け止めてくれる?

『兄弟』というストッパーがなくなった今

俺には気持ちを抑えることは出来なそうだよ…


4曲目…

『最後の曲です…
愛しい人へ…この歌を贈ります…
『君のうた』」

イントロが流れ出す…

俺の想いが届くように
この歌はお前に向けて歌うよ…

今まで俺は兄貴として
ずっとお前の傍にいてその笑顔を守ってきた

でも こらから先の人生…

兄貴としてではなく ひとりの男として
お前の笑顔を守らせてくれないか?

そう願いを込めて…

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